収蔵品紹介

織田式繰糸機

昭和初期
長野県有形民俗文化財、日本機械学会 機械遺産
1921(大正10)年以降の御法川式多条繰糸機の普及に伴い、国内の生糸消費にも対応するため、東京を拠点に事業を展開した中原工作所(昭和2年創業)が開発しました。諏訪式繰糸機と御法川多条繰糸機の機能を持ち合わせています。多くの多条繰糸機が沈繰※・低温・低速での繰糸法であるのに対し、半沈状態※で約80度の高温湯から繭糸を引き出し、高速で繰糸する機構を採用しています。また、糸に過剰な張力がかかると小枠が停止するという当時としては画期的な糸の切断防止機構も取り入れました。戦後、御法川式・増澤式・郡是式などとともに普及しました。

※半沈状態:繭の中にわずかに空気を残し煮繭し、繭が水面からわずかに出ている状態